留学中に元小学校教師が起業した話

日本で小学校の教師をしていました。日本教育の闇に気づき、今は退職して、オーストラリアで会社を立ち上げました。教員を育てたり、子どもたちに多様な価値観の教育をしています。海外に出て感じた、日本教育の矛盾点。現場で感じてきた違和感。そして体罰などで明るみになってきた教育現場の閉鎖感。全ての真実を公開していきます。僕たちはあくまでも、個性や創造性を潰されている子どもたちを救いたい。激務で多忙な生活を送って頑張っている先生たちを救いたい。子どものことを第一に考え、負担なく安心して仕事に行ける保護者を助けたい。そん

『元教師のノンフィクション小説 第8章 『3人目の幹部』

第8章「3人目の幹部」

ゴンザレスハウスが開校した頃、センセーはまたもや1通のメールを受け取っていた。

『お久しぶりです。日本で就活しましたがどうにも肌に合いません。もし良かったらセンセーの会社で働けませんか?給料は後払いの成果報酬で構いません。』

コウタ君(第3章)からのメールであった。

当時コウタ君は大学を休学してオーストラリア留学に来ていた。同じシェアハウスで暮らしていたので、すぐ近くでセンセー達のビジネスの話をよく聞いていたのだった。そして以前センセーが勧めた英語指導者の資格も取得していたのだった。

『まだ大学生なので、まずは学校をしっかり卒業しなさい』

『学生中にもやれることはあるので、今から一緒に戦いましょう』

とセンセーは返信し、彼に仕事を依頼した。

学生に向けての留学支援、カウセリング、宣伝、営業、ホームページ、チラシ、パンフレットの作成など会社の基盤となる全てを彼に託したのである。

彼にどこまでできるか。卒業まであと1年。どこまで成長できるか楽しみな逸材だった。

オーストラリアと日本との間でのやり取りは難しかった。

連絡を取るのでさえ、予定が合わない。目や表情で伝えたいことが伝えられない。仕事をする上で遠距離は凄く業務に支障をきたすことがわかった。

でもそれでもやるしかない。センセーが日本に帰国する際には日本で打ち合わせや営業を繰り返す。コウタ君も学生をしながらバイトもし、会社のお手伝いもする。そんな忙しい日が約一年続いた。

1年も業務をこなすとコウタ君も大変立派になった。

WEBサイトやパンフレットの作成も完璧にこなし、学生という武器を使って、お客さんに営業しカウセリングする。わからないことなどは自分で勉強し、考えてから相談する。自分の意見もしっかり述べ、会社の経営や方向性の話にも積極的に参加してくれた。そして彼の実績を考慮して専務のポジションに置くことにした。

月日は少し流れたある日。コウタ君が発信していたブログに食いついた男が2人。コウタ君、そしてセンセーの意思に共感した2人。地水くん(大学生)と梅川さん(現役小学校教師)が仲間に加わったのだ。彼らは無償で協力してくれた。抜本的な日本の教育改革、学生への就職支援、情報提供など日本からセンセーたちを手助けしてくれたのだ。

彼らはまた秀才で、行動力もあった。

センセーと地水君で企画的なアイデアを打ち出し行動する。それを資料や目に分かる情報に直し、宣伝するコウタ君。マネージメントや経営などの部分は梅川さん。見事なチームワークで次々とビジネスを確立していった。

2019年1月の頃だった。