『元教師のノンフィクション小説 第9章「専務再びオーストラリアへ」「ジョーカーの右腕降臨」』
第9章「専務再びオーストラリアへ」「ジョーカーの右腕降臨」
2019年‘4月、日本から専務のコウタ君が2年間学生ビザでオーストラリアへ来ることになった。これは大きい。一人で会社の経営や宣伝、営業などほぼ全てを行なっていたセンセーにとっては朗報だった。3ヶ月間で全てを叩き込む。なぜなら7月にはセンセーはビザが切れて帰国なのだ。
ここから始まるコウタ君とセンセーの快進撃。
2人の生み出す画期的なアイディアのビジネスはグングン成長を続けた。
2人を追うかのように小野村さんというスタッフが加わったのである。彼も5月に渡豪し、先生の業務のサポート、他のスタッフのサポートなどを主に行った。彼もまた何かを秘めた逸材だと言うことは先生もこの時、薄々気づいていたのかもしれない。
一方ジョーカーも大きな動きがあった。
ジョーカーの恩師「ダクさん」が4年の月日を経て、再びオーストラリアに戻ってきたのである。渡豪間もない頃、ジョーカーの世話をしていたタグさん。ジョーカーにオーストラリアの裏事情を叩き込んだ恩師である。経った3日間しか一緒にいなかったが、この絆は深かった。タグさんは4年間、日本からジョーカーの動きをずっと見守っていたのである。
そしてこのタグさんがものすごいやり手であった。パソコンはお手の元、様々な業種を渡り歩いてきたさすらいの技術者。なんでも直して作り直す、ワンピースで言うところのフランキーであった。頭の回転も早く、ジョーカーの仕事の全てをサポートするようになった。ジョーカーを慕う後輩達の面倒もよく見てくれて、大兄貴としてグループの中心的な存在へとなった。
生活が落ち着くとジョーカー達はシェアハウスの経営を始めた。人脈を使って集客するジョーカー。住人に抜群の環境を提供するタグさん。2人のコンビネーションは最高だった。
2人が経営するシェアハウスは瞬く間に大人気になり、次々と新しいシェアハウスを、日本人の「サンクチュアリ」を作り出していったのである。