「元教師のノンフィクション小説 第2章 『闇の帝王ジョーカー渡豪』」
第2章「闇の帝王 ジョーカー」
2015年「センセー」と同じ時期にオーストラリアへ入国したひとりの青年。彼にも夢があった。それは日本では到底果たせない、理解の得られない大きな夢であった。
オーストラリアで「Japaneseマフィア」を結成すること。
のちのオーストラリアで「ジョーカー」と呼ばれるようになり、「センセー」とも深いつながりになっていくこの男にも少しは触れておこう。
彼が日本で何をしていたかはここでは細かく書くことは、まだできないが「闇の帝王」と呼ばれるだけあって、相当の悪い奴をイメージしてしまう。だが名前とは裏腹に、とても爽やかで優しそうな青年であった。
彼はオーストラリアに何をしにきたのか。聞くといつもこう答える。
「古い価値観をぶっ壊しにきた!」
「日本人は騙されている」
この言葉が彼の口癖でもあった。ジャパレスでまじめにバイトも行うし、友達付き合いも非常によく、頭の切れる人だった。
彼はオーストラリアで日本人が求めるものを全て提供した。「仕事」「家」「車」「女」「ギャンブル」そして「仲間」と「居場所」
人柄の良さと、経営力でグングンと業績を上げていく彼。
ここから彼の周りには同じ趣味を持ち、新しい価値観をもった日本人が続々と集結していくのである。
そしてそれがのちに「センセー」を巻き込む大事件に発展するのはもう少し先の話である。
ジョーカーの主な仕事は密売だ。ドラ、マリ、タバ。日本人が求めるものを仕入れてはみんなに届けた。必要悪だと彼は言っていた。誰かがやらなくちゃいけない仕事。
ただ彼にもポリシーがあった。押し売りはしない。子どもに売らない。
自分がいけないと思ったものは売らない。例えどんなに儲け話がきても。。。
金のためではない。全ては古い価値観をぶっ壊すため。。。